ちいさなしあわせさがし

日々のちいさなしあわせさがし♡そんな心をはぐくむために

福島避難ママ、沿岸部のボランティアに行って

私の友人Tさんから紹介されたKさん
福島市に嫁ぎ8年、結婚記念日直前に震災があり、
お子さん達を連れて、東京の実家に戻られていました。
 
毎日、ネットに向かい、原発のこと放射線のことを調べ、
かなりストイックになってるという話で、何度か電話でお話したこともあります。
 
ある日、東北沿岸部の津波により被災された方の報道があった際、
Kさんは「でもこの人たちは、またここに家を建てて住むことできるじゃん!福島は放射能の問題でそれすら出来ないんだからさ~」と愚痴をつぶやいたそう。
 
その言葉を聞いてブチ切れた実の母が、
「あんたは、その目で津波の現場を見に行ったんかい!?その人たちの声を聞いたことがあるんかい?
そんなん言える立場になりたいんやったら、まず自分で現地行ってボランティアでもなんでしてきぃ~!」と言われたそうな。。。(お母さんは関西人で、興奮すると関西弁になるそうです)
 
娘Kさんはその話を友人Tさんに話をしたところ、
Tさんからも「それはお母さんが正しい。あんたは自分のことしか見てないんだよ。問題は福島だけにあるんじゃない。一緒に行って現地の人の声を聴きな」と、彼女を連れて、沿岸部へとボランティアに行ったとのこと。
 
そのボランティアから帰って来たKさんは、今までとは明らかに違う日々を送っています。
彼女が、私に話してくれた現地のリポート。
心に響いたので、アップさせていただきます。
~以下~
 
 
あるお庭の片付けと草刈のお手伝いをすることになり、黙々と草を刈っていました。
私がいったところは、別段そんなに被害に遭っている感じでもなくて、
もしかしたら周りが殺風景だったから、全部片付けた後なのかもしれないけど、
はじめは、私わざわざこんなところに来て何やってるんだろう。今、自分の方が大変な状況なのに・・・って、
母とTちゃんに対して、ちょっと恨めしい気持ちで草刈りをしてたんです。
 
休憩してくださいとその家の持ち主のおばあちゃんから声をかけられ、
持ってきてくれた麦茶と自分で作ったというお団子みたいなお菓子をいただきながら、
お話をしていました。
震災に遭った時のご自分の体験、息子さんが九死に一生を得たこと、
今こうして生きてられることはありがたいことだけど、死んでしまった人たちに申し訳なくて、
こんなに歳をとったおばあちゃんは持ってかれてもいいから、若い子達を助けてもらいたかったねえ~って、
涙ながらに話されていました。
私はなんて言ったらいいのかわからなくて、黙って聞いていました。
おばあちゃんが、「あんたどこからきたの?子供さんは?」って聞くので、自分の事情を話し、そうしたら、そんなに大変なのによく来てくれたね。もしよかったら、うちの裏に住んでる人のところにお団子届けて来てくれないかって頼まれたので、「いいですよ」と二つ返事で裏の方にあるお宅に伺ってきました。
 
ちょっと離れている小さな家のドアをノックしたら、同じ年くらいのすごく痩せた女性が出てきました。
おばあちゃんから頼まれて持ってきたと言ったら、「ありがとうございます。ボランティアの方ですか?遠くからありがとうございます」と丁寧に挨拶されました。
とても丁寧なんだけど、心がここにないような、まるで死んでる人みたいな感じで心配になったので、何気なく
「大丈夫ですか?お一人なんですか?」と聞いてしまいました。
 
その言葉に反応されて突然その女性の目から涙が流れてきたので、びっくりして「すみません・・・」と言ったら、
「ごめんなさい。なんでもないんです。亡くなった家族のことを思うとすぐに涙が溢れてしまって、気にしないでください」とおっしゃいます。
 
なんとなく話を聴くこととなり、そのまま一緒にお茶を飲むことになりました。
おばあちゃんのお団子を囲んで。
 
主人も息子も娘も、実家の母も、みんな津波で流されてしまいました。娘はまだ見つかってないのです。
どこかで生きていてくれたらいいなあと思っています。津波のせいで記憶喪失になっているから、帰って来れないだけで、本当はどこかで生きているんじゃないかって、ずっと思って待ってるんです。」
娘さんと息子さんの年齢が奇しくも私の子供達と一緒で、思わず息を呑んでしまいました。
 
どこから来たのかの問いに、今の自分の状況を話したら、彼女は、
「お子さんたちを守って、みんなで笑って暮らしていってくださいね。」とひと言。
 
その言葉を聞いた時に、気づきました。
『この人は、守るこども達も、一緒に笑って生きていきたい家族もみんな失ったんだ』と。
 
以前、先生の話で、「本当の故郷は家族だったんだ。土地でも地域でもなく家族がいるからこそ、そこが故郷としてあったんだ」と言っていた男性の話を伺ったことがありました。
その時は、そんなこと綺麗事だって正直思っていました。
 
でも、この方から滲み出てくるこのいたたまれない悲しさ、生きることを苦痛に感じているこの女性を見て、
はじめてその意味がはっきりとわかりました。
私、今までなんて愚かで自分のことばっかりしか見てこなかったんだろうと恥ずかしくなりました。
 
 
私にはまだ守ることができ、これからの成長を楽しみにしていけるこども達が生きています。
ぶつかることも多いけれど、それでも一緒に笑って考えていける旦那がいます。
口うるさいって思ってたけれど、わたし達親子を文句も言わず、受け入れてくれた母もいます。
自分がどれほど恵まれていたのか・・・彼女の話を聞いて気付くことができました。
 
私に出来ることはないだろうか?
なんの資格も持っていないけれど、この私に出来ること。
 
(割愛)
 
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皆様は、この話を聞いてどのようにお感じになられるでしょう?